林間学校の思い出話

深夜、森の中にある踏切で、男が電車の通過待ちをしていた
踏切の周りは鬱蒼と木が生い茂り、近くには灯もなく
まさにまっ暗闇であった
男が携帯をいじっていると、やがて電車が暗闇の中から姿を表した
何のことはない、タダの回送だった
ぼーっと電車を眺めていると、不意に後ろから肩を叩かれた
男はビックリして振り返ったが、後ろには誰もいない
気のせいかと思い、また正面を向いた男は見た
通り過ぎていく車両の窓という窓にはりついた明らかに生きてはいない人、人、人
余りの異常事態に男が固まっていると、また肩を叩かれた
ぎこちない動きで振り返ると
そこにはさっきはいなかった青白い顔をした女が立っている
そして
「お前も乗るか」


暗転